機械で生地に凹凸を付けてそのかたちを保つ「しわ加工」とは異なり、絹生地に施した絞り染めは、雨、汗などの水分に弱く、一端絞りが伸びてしまうと、残念ながら完全には元のかたちに戻すことができません。ですが、それにごく近いようには戻せます。ご家庭で!簡単に!
それがスチームアイロンの発熱面を生地から、少し浮かした状態でスチームだけを生地に当てる「浮かしかけアイロン」です。ここでは画像に添って、簡単にその方法をご説明します。
伸びてしまっても、染めの味わいはお楽しみ頂けますが、絞りの凹凸を残したいと思われる方は、なるべく早期に下記の方法をお試しくださいませ。
絞りの伸びの程度、原因、状態は千差万別であり、ここでご紹介する「浮かしかけアイロン」で全ての伸びが回復することを保証するものではありません。
1.
ダイナミックな唄絞りのスカーフ。
肩にかけて愛用していたら、いつの間にか汗と雨で、その部分だけが伸びてしまいました。
すぐにスチームアイロンと、アイロン台、そして乾いたボディタオルを出してきて下さい。
2.
ボディタオルを下敷きに(スカーフの下からも蒸気があたるように)アイロン台の長い方の辺にボディタオルを二つ折りにして置き、その上に伸びてしまったスカーフを置きます。
これで上からの浮かしがけアイロンの蒸気がタオルに含まれ、下からも蒸気が生地に伝わります。
3.
絞りを本来のつんつんした形に整える。ここが一番重要です。広がってしまった箇所の絞りつぶを、指で本来のつんつんしたツノ状態に戻るようひとつぶひとつぶを、そっとつまみ寄せていきます。
4.
浮かしがけの始まり
アイロンの温度設定は、絹ですので温度設定は「高」です。
注水してアイロンがしっかり暖まったら、絶えず3. の作業を繰り返しながら、丁寧に丁寧に、浮かしがけして行きます。アイロン面をスカーフ面(ツノのてっぺん)からおよそ、1cmくらい浮かせて、生地に蒸気だけをあてて行きます。
つまんで 整えて 蒸気をあてる。
つまんで 整えて 蒸気をあてる。 この繰り返しです。
火傷とスチーム穴からの湯滴のもれには、充分注意して下さい。
5.
ゆっくり、じっくりと蒸気をかけましょう
一回かけて元に戻らなければ、少し他の部分をかけてからまた戻って、絞りの様子を見ながらかけていきます。
決して焦ってはいけません。はじめは無意味に思えるこの作業で徐々に、絞りのツノがよみがえって来ました。
火傷とスチーム穴からの湯滴のもれには、充分注意してください。
慣れない方は他の絹生地で試してから、あてられることをおすすめします。
6.
完成!
アイロンのスイッチを切って、さあ、おでかけです。
7.
おでかけからお帰りの後は、不織布などでスカーフをくるんで、できるだけコンパクトな形で保管してください。